How to read the e-books:kobo glo & Kindle PaperWhite |
koboは元々、カナダの会社の製品で、楽天がこれを買収し、Amazon のKindleに先駆けて、売り抜こうとした、無理やりスキマ産業的な商品である。評判の悪さも、多くはその(三木谷楽天社長の)拙速主義に起因する。
だが、公平にみて、そう悪いデバイスではない。特に、日本で最初にePUB3対応した電書リーダとして、評価してもいいと思う。ちなみに、「kobo」とは「book」のアナグラムの由だ。
2014年10月現在時点で、すでに筆者がここに記している「kobo touch」は市場のラインナップからは消えている(kobo gloは、Kindle PaperWhiteがリリースされて、kobo touchにはない画面照明=フロントライトが付いていたので、あわててその機能を付加して販売したと思しいものだ)。
現在、koboは公式には――、
――の4機種がリリースされている(2014.10.02現在)。
だが、後者2つはタブレットPCに属すると思われるので、実質上、電書リーダとしては、最初の2つ、「kobo glo」と「kobo Aura」だけが、koboと云える。
筆者は、最初のkobo touchとkobo glo しか購入していない。
その後、2つとも(後述する)改造を施し、内部メモリを32GBに換装したので、それ以上のスペックは必要なくなった。
今でも、ヤフオクなどで、kobo touch や単体のkobo gloは入手可能なので、この拙サイトも、全く時流から遅れているわけでもなく、むしろ、単体での最も進化したデバイスは、(改造した)kobo gloで充分だと思っている。
kobo touchは、ネット上の店によっては4000円以内でも買える。だが、やはり画面照明があった方がいいので、今となっては、kobo gloがオススメである。
こちらは、馬鹿正直に、楽天のストアで買わず(型落ちした定価7000円のデバイスに16GBのmicroSDカードを付けて、1万弱なんて、どう考えても、ボッタクリだろう。1500円も出せば、ノーブランドのバルク品なら、Amazon で、32GBのmicroSDカードが買える)、ヤフオクまたは、価格コムなどで最安値品を見つければ、大体、5500〜7500円の間で買えるだろう。
ということで、以下、去年(2013年)段階では現品がなかったので、記述もしなかった、kobo gloについて、そして、ついでながら、koboではなく、Kindle PaperWhite(KPW) についても言及したい(これは、単に現時点で、筆者がKPWも所有しているからだ(笑))。
今、販売されている最安値のKPWは、Amazon で定価10280円である。ただ、この価格は版によって、どんどん変動するので、ちとアレだが、まあその程度だと思えばいいだろう。個人的には、改造が出来ず、メモリもショボイKPWは魅力が薄いが、ネットで購入した本を読む、という「本来の利用目的」だけが目当てのユーザならば、KPWの方がいいかも知れない。ただし、年季の入った楽天ユーザには、koboストアでも様々な(クーポンなどの)利点が多いが、Amazon はさほど顧客優待制がないので、相対的に見ると、楽天koboの方が安く買えるメリットはあると云えよう。
どちらにせよ、筆者は、自作したタイトルを読むリーダとしてのデバイスとして、このサイトを書いているため、そういう一般的な標準ユーザはサイト読者として想定していない。そうした素直な子羊的なユーザは、あてがいぶちの市販品を、享受していれば、それでよろしいので、koboだろうがKPWだろうが、選択肢はその人の自由だと思う(とりあえず、そういうユーザは、当サイトとは関係がないと思ってほしい)。
ところで、詳細は別ページに譲るが、koboは「改造」が出来る。
これによって、たった2GBしかなかった(プログラム等も格納しているから、実質のメモリとしては、1GBである)メモリ容量は、32GBにまで増やせるし、別途、拡張スロットにも32GBのmicroSDカードが挿せるので、まっとうな使い方をしているユーザに較べたら、今の筆者の環境は段違いになっている。先達の人柱に多謝あるのみ。
あいにく、改造可能なのは、koboだけで、Kindleは筺体が開けない(一体成形型である)ので、その限りではない。操作性は、Kindleの方が少し優れているのだが、惜しいところである(念のために云っておくと、どこのメーカでも、ユーザは改造した時点で、サポート外となるため、その先は全て自己責任となり、結果、故障したとしても、何の保障も受けられなくなるので、改造のメリットには、ある程度、覚悟がいる)。
さて、そこで、kobo glo だが、これは単にe-inkに画面照明(フロントライト)を付けただけではなく、解像度(レゾリューション)が格段に良くなっている。
その結果、kobo touch では、有効画面が、実質、「600x700px」だったのが、kobo glo では、「750x900px」になっている。
当然のことながら、その価では、画面に表示されるコンテンツも変化するので、例えば、自作タイトルなら、kobo touch と同じ数値のフォントを使ったり、解像度も同じにしたりすると、奇妙な画面になる。ChainLPでの価を変える必要が出てくる。
筆者は、すでに老眼の身であるから(^^;)、いかに画面照明があったとしても、その画面での解像度に見合った画面でないと、見づらい。
経験則から割り出した、kobo glo の有効解像度は、前述したよう「750x900px」が最適値だと思う。
そして、それに伴い、コンテンツの表示も、テキストの場合、フォントは、本文が「21pt」、ルビは「9pt」あたりが最適値だと思われる(下図、参照)。
(むろん、これは個人差があり、自分に最適な環境を作るのが一番なので、「環境設定」で試しに数値を変えて、読みこんだ画面が、一番、自分にとって読みやすい価を求めてほしい。作成する前に、ChainLPでは結果画面が表示されるので、それで大体のイメージは掴めるはずである)
以下は、そうして作成したkobo glo向けのコンテンツを、FireFoxのePUBリーダのアドインで開いて読んでいるところである。kobo glo の e-inkでフロントライトがオンなら、暗いところでも、視認性は非常に高い。
見て判るように、1画面、14行、29文字になる(エディタ画面では、半角61字あたりまでが入る勘定だ)。感覚的には、大きなフォントの文庫サイズと思えばいいだろう。
Kindleは同じe-inkを採用しながら、koboよりも操作性に優れている(koboはタップ、Kindleは「めくる」でページを送るが、前者でタップの利きが悪い時があり、他にも操作上の機能面では、やはりKindleの方が勝っていると思う)。
Kindleもまた、いくつかのラインナップをリリースしているが、その中で、kobo gloと張り合うマーケティング的な標的は、おそらく、最下位機種の「Kindle PaperWhite」だろう。他のタブレットPCと同等の機能のものなどは、電書リーダではないので、ここでは言及しない(つか、筆者は、KPWで充分だと考え、それ以外の製品を購入していないので、言及のしようがない(笑))。
「Kindle PaperWhite」これは、スペック的には、ほぼ、kobo gloと同等の数値である。
だが、さすがに後発で満を持してAmazon がリリースしただけのことはあって、これまた解像度がkobo gloよりも高くなっている。
当然、Kindle PaperWhiteで表示される最適値も変わってくる。
それ以前に、メンドくさいことだが、Kindleは、ChainLPだけでは完璧な電書ファイルが作れない。
これは、Kindleが「ePUB3」フォーマットを可読しないためである。
Kindleが採用しているのは、独自の「mobi」ファイルで、これはePUB3から作成可能だが、間にもう1つ、手間がかかる。ChainLPでも「mobi」ファイルを直接、作成できるのだが、そうすると「目次」機能などが失われるのだ。短い作品ならいいが、長編だと、目次がないのはネックとなる。より完成されたmobiファイルを作るには、間にもう一手間、かけることになるのだ。
そこで、ChainLPと、その支援ソフト(フリー)を使って、Kindle PaperWhite用のmobiファイルを作成する手順と、最適値の解像度について、以下、言及する。
なお、最初に断っておくと、Kindle用のファイルは、Amazon のネット上で作成可能だが(商業出版も可能な「Kindle ダイレクト・パブリッシング」だけではなく、クラウド上で「Kindleパーソナル・ドキュメントサービス」がある)、筆者は、あえて、そっちは採用していない。多少、脱法的なファイルでも、利用可能なように、一切をオフラインで行う方法を採っているからだ(笑)。
必ずしも、筆者の行為は違法行為とは云えないかも知れないが、法律の条文をどう把えるかによって、違法性の阻却が完全に保障されないと、安心して、Amazon のネット上のシステムを使うわけにはいかない。
あと、官能系のコンテンツについては、いかに私的利用とはいえ、記録に残したくない、という心理的バリアが働き、それでネット上の利便さを無視しても、オフライン作業に拘っている(笑)。いずれにせよ、オフラインで作業が完結すれば、通常のPCユーザとしては、それに越したことはあるまい。
さて、まず、解像度の話である。
Kindle PaperWhiteは、同じ6吋画面ながらも、758×1024ドットの解像度を誇る。
これに見合った、ChainLPでの有効画面の最適値も、筆者の経験では、「758x1024px」の数値でOKだった。
koboとは設計思想が違うせいか、ギリギリの画面でも、画面下部が見切りになることもなく、有効画面をいっぱいに使うことが出来る。
さらに、「詳細設定」での、フォント数だが、本文は「24」ポイント、ルビは「11」でよい。
(むろん、これも筆者の環境に合わせた数値なので、個人差はあると思われる。一応、この数値で試作して、ChainLPの画面で確認すればよいだろう)
「詳細設定」の「青空テキスト1」の設定。
「詳細設定」の「ページ補正」の設定。
筆者は、同一のコンテンツを、「kobo touch」、「kobo glo」、「Kindle PaperWhite」の3つのリーダで、各々、最適値を試したが、その結果が、これになった。近視に乱視に老眼という筆者が、快適に読書できる環境である。当然、より若い世代は、もっと細かいフォントでも読めるだろうし、筆者より視力が衰えているユーザは、より大きなフォントが快適かも知れない。各人、自分に見合った最適値を見つけてほしい。
当初、このサイトでは、最低限の電書リーダで可読のファイルを手作りで作成する、という趣旨だったし、その時点では、筆者の手もとには、kobo touch しかなかったので、Kindleは視野外だったのだが、その後、kobo glo とともに、Kindle PaperWhiteも購入し、比較しつつ、自作タイトルを試作し、それを格納していったので、それなりのノウハウも蓄積できた。
まだ充分なものではないが、一応、情報の共有と蓄積は、まとめておいた方がいいだろう。よって、以下に述べることは(まず、Windowsユーザ向けだし)完全なものではないし、kobo向けのファイル作成より少しメンドくさいが、ある程度、PCの操作に慣れたユーザには、可能な範囲の作業として、読んでもらいたい。
Kindle向けのファイルは(Kindle専用の「azw」ファイル以外には)、mobiファイルであり、ePUB3ファイルは、Kindleでは受け付けない。つまり、あらかじめePUB3ファイルを作成し、それをmobiファイル化する、もう一手間が必要となる。
なぜ、このような方法を採っているのか、筆者にはよく理解できないが、DRM(デジタル著作権管理)だけなら、ePUB3でも可能なので、たぶん、マーケット的な差別化のためではないか、と考えている。
こうした話題は、当サイトの趣旨から外れるから、あまり論じるつもりはないのだが、Amazon はAppleが音楽シーンで既成CDメーカなどのマーケットを壊滅させ、ほぼ市場の寡占的支配を図ったようなことを、電子出版の世界で再現したいのではないか、と思われる。まあ、これ以上は云うまい。
なお、あらかじめ云っておくと、この作業のためには――、
テキストエディタが使えること
ファイルのリネームが出来ること
ZIPファイルを解凍して中のテキストファイルを開けること
さらに解凍したZIPファイルをもう一度、圧縮すること
――などのスキルが必要となる。
そのためのフリーソフトも明記しているが、もし、上記の作業が出来ないなら、Kindle用のファイル作成は不完全なものしか出来ない。そう考えて、あきらめてもらいたい。
なお、ここで云う「完全なKindle用ファイル」とは、kobo用のそれ(ePUB3ファイル)と同様に、コンテンツに縦書き、約物を備え、操作上では目次機能が働くようなものを指している。
不完全なファイルとは、目次機能が働かないもので、これだけなら、ChainLPで作成可能である。だが、長編タイトルで、目次機能がないと、シンドイので、あまり推奨しない。それでもいい、と云う人は、ChainLPで、最初から出力を「mobi」ファイルにすれば、ファイル作成は簡単にできる。
すでに、「ePUB3」ファイルの構造は、第一ページである「電子書籍の作り方 (ePUB3)」で記しているが、煩を厭わず、もう一度、記しておくと、以下のようになっている。
[Title] |_Content _indexP00001.xhtml | | |_indexP00002.xhtml〜 | | | |_Resources_index0.css | | _P00001.jpg | | _P00002.jpg〜 | |_Meta-INF_container.xml | |__iTunesArtwork |__metadata.odf |__mimetype |__toc.ncx
これに対して、「mobi」ファイルの構造はどうなっているか、というと――、
[Title] |_Content _indexP00001.xhtml | | |_indexP00002.xhtml〜 | | | |_Resources_index0.css | | _P00001.jpg | | _P00002.jpg〜 | |_Meta-INF_container.xml | |__iTunesArtwork |__metadata.odf |__mimetype |__toc.ncx
まったく同じであることが判るだろう。
違いは「metadata.odf」ファイル内のスクリプトだけだ。
だから、一手間かけるだけで、ePUB3>mobiファイル変換は可能なのだが、目次機能などは、ファイル構造中の「metadata.odf」で規定されている。
筆者が参考にしたのは、このサイトだが、正直いって、何のことだか、よく判らない(笑)。だが、実際的なことが記述されており、その通りにすれば、ePUB3と同等の機能をmobiファイルに反映できるので、文句はない。
簡単に(筆者が理解しただけのことを)記しておくと、ePUBファイルは、XML技術とZIP圧縮技術の混合だと記しておいたが、XMLとは、このサイトのようなWebページを記述する文法であるHTMLの拡張版だから、たとえば、Kindleに転送して表示される第1ページは、上図の「Content」フォルダ内の「indexP00001.xhtml」で表示され、その内容は、その下部フォルダの「Resources」内の「P00001.jpg」から始まる連番画像で、XHTMLファイルは、このJPEG画像を呼び出して表示しているわけである。解凍してみれば判るが、P00001.jpg〜画像は、本の1ページずつをそのままJPEG化したものだ。
さらに、「metadata.odf」では、文字どおりメタデータが記され、相互のファイルの関係性を規定している。目次機能が働くのは、ここで記述されたリンクが、「toc.ncx」などを読みこんで、相互リンクさせているからだ。
つまり、目次内容は、「toc.ncx」に記述されており、「metadata.odf」のスクリプトのいくつかが、それを読み出すように仕組んでいる。
漠然としたアナロジーで云えば、文字列だけのHTML文書を格納した「コンテンツ」フォルダと画像データのフォルダを分けたウェブページを想像されたい。
そこで、「コンテンツ」フォルダの下部には、さらに「リソース」フォルダがあり、JPEG画像はそこにまとめて格納している、HTMLの階層構造を想像してもらいたい。
そして、互いのリンクは、別ファイルで読みこむように指定されているのだ。css(スタイルシート)に似ているが、少し構造が違うだけだ。
だから、ChainLPで作成したePUB3ファイルは、目次機能を、そうしたXMLファイルやNCXファイルで実現しているが、残念ながら、現時点では、それはそのままでは、mobiファイルでは機能しない。ChainLPがヴァージョンアップして、Kindle PWに対応すれば、おそらく自動処理されると思うが、今はそうではないから、ユーザが手作業でやるしかない。
目次設定を機能させるためには、一度、ePUB3ファイルを作成してから、それを「mobi」形式にするために、「metadata.odf」ファイルのスクリプトを一部、書き換える必要がある。
上述したサイトには、その書き換えるスクリプト内容が詳述されている。タイトルごとに異なるものではなく、全て同一書式だから、同じ1行を書き換えるだけでよい。書き換えるスクリプト内容も、記されているので、大変、ありがたい。
むろん、ePUB3ファイルは、ZIP圧縮されたものだから、書き換えるには、一度、解凍しなければならない。
その後、書き換えた「metadata.odf」ファイルを含む、全ファイルやフォルダを、もう一度、ZIP圧縮して、拡張子を「.mobi」にリネームすれば、Kindle対応のmobiファイルが完成、という手順である。
なにやら面倒なことをしているようだが、要するに、ChainLPで作成したePUB3ファイルの一部を書き換えしているだけだ。そのためには、しかし、作成したePUB3=ZIPファイルを一度、解凍し、書き換えた後、もう一度、ZIP圧縮する。そういうことである。
ご理解頂けただろうか? まあ、コトバで説明されて、判らなくても、実地にやっていけば、なんとかなるので、試してもらいたい。
では、実作に移る。
まず、必要なのは、「テキストエディタ」である。この作業は、ワープロソフトでは出来ない。
筆者はWZエディタを使っているが、秀丸でも何でもいい。Windows標準の「メモ帳」では、ちょっと心許ないので、フリーソフトでいいから、何かエディタを用意されたい。
次に、Amazon が配布しているKindle用のmobiファイル作成アプリ「KindlePreviewer」がある。ePUB3ファイルをmobiファイルに変換してくれるソフトだ。
以下のサイトで無償で配布されている。
https://kdp.amazon.co.jp/help?topicId=A3IWA2TQYMZ5J6
もしくは、
http://www.amazon.com/gp/feature.html?docId=1000765261
後者のサイトでは、「I agree to terms of use」という項目にチェックを入れて、グレーアウトしていた「Download Now」ボタンを有効にしてからダウンロードする。しかし、後述のKindleGenも一緒に落とすなら、前者の方が便利だろう。
ZIP圧縮されたePUB3ファイルを解凍し、また圧縮するためには、Windows標準のツールで大丈夫だ。
(筆者は、WinRARというシェアウェアを使っているが、XP時代までは、Windowsでは自前でZIP圧縮/解凍ができなかったからで、今とは事情が違うのだが、このツールは他にも、RARその等の圧縮アーカイバにも対応しているので、もっぱらこれを使っているだけだ。普通のユーザはWindows標準のツールで充分である)
さらに、「Kindle ダイレクト・パブリッシング」サイトから、「KindleGen」を落としておく(ファイル名は、「kindlegen_win32_v2_x.zip」というようなものになる)。これは、適当なフォルダで解凍して、その中から、「kindlegen.exe」だけを、「ChainLPを解凍したフォルダ内に格納する。
上記のツールが事前に備わっている環境で、それらを使いこなせるスキルがあるなら、問題なく作業ができる(はずである)。
では、ePUB3>mobi化の手順を記していく。
まず、テキストをChainLPにかけて、ePUB3ファイル化する。
そして、それをWindows標準のツールで、ZIP圧縮を解除する。
この作業の前に、Windowsのエクスプローラの設定(フォルダ・オプション)を変更しておくと、作業がやりやすいだろう。デフォルトでは、Windowsでは、「関連付けられた拡張子を表示しない」設定になっており、そうすると、ファイルの拡張子部分のリネームが出来ないからだ。
(筆者の環境では、ファイル管理ユーティリティを使っているので、拡張子も表示されるのだが、それを導入していないと、エクスプローラに頼るしかなく、それだと拡張子が表示されず、リネームも出来ない)
だから、あらかじめ、フォルダ・オプションの設定を換えるわけである。
図は少し前後しているが、まぁ、気にしないで(笑)、下図のように、エクスプローラの「ツール」>「フォルダ・オプション」を開く。
「フォルダ・オプション」の「表示」タブから、「登録されている拡張子は表示しない」のチェックを外す。
すると、エクスプローラ内で、下図のように、キチンと拡張子のZIPが表示される(ここでは、すでに拡張子の変更をしたものとする)。
なお、拡張子を変更すると、下図のようなダイアログボックスが出て、警告がでる。
しかし、そのまま「はい」で先へ進む。
なお、Windows標準でエクスプローラを使い続けるのであれば、どういう不具合が起きるか判らないので、念のため、作業が完了したら、フォルダ・オプションは元に戻しておいた方が無難かと思う。むろん、こっちの方が便利だと思えば、そのままでもいいが、筆者は責任は取れない。
そう云うと、無責任に聞こえるかも知れないが、正直なところ、筆者はWin3.1時代から、ずっと「卓駆★」というファイル管理ユーティリティを使い続けているので、その環境になれている。これは、それ以前に、MS−DOS時代から、ファイル管理とエディタとを組み合わせた、当時は、FDとVzエディタの環境をWindowsに持ち越したものである。
だから20年以上、そうした環境でPC作業をしているため、Windows標準での仕事の仕方が、今イチ、ピンと来ないのだ。
ここでは、だから、Windows標準の装備やツールに合わした作業の仕方に、記述を置き換えている。遺漏があったら、申し訳ないが、適宜、補って読んでもらいたい。
次に、ZIPファイルにしたePUB3ファイルを解凍する。
Windowsでは、Vistaから圧縮/解凍が標準装備されているので、エクスプローラで開いたファイルをカーソル指定して、右クリックする。
コンテキストメニューから「すべて展開」を選ぶ。
(この画像は、Vistaマシンで取得している。筆者の環境では、余計なものが一杯、コンテキストメニューに入っており、混乱を招くと思ったからだ。Win7マシンでは少し、表示が違うが、読み換えてもらいたい)
以下の画面になるので、右下の「展開」ボタン押下する。
以下のように、圧縮ファイルが解凍され「展開」される。
(以前、圧縮ファイルを複号することは「解凍」といっていたので、「展開」という言い方は、少し抵抗がある。だが、ZIPは、圧縮技術だが、最近では、Wordファイル=docxのように、複数のファイルやフォルダを1つにまとめるだけで、さほど圧縮に力点はおかれていないような気がする。だったら、まあ、「展開」という言い方も了解可能だ)
さて、以下はまたWindows7の画面に戻る。
今度は、解凍(展開)したZIPファイル内にある「metadata.opf」ファイルの書き換えである(赤線アンダーライン参照)。
opf とはOpen Package Formatの略だそうで、ePUB規格のファイル要素の1つだ。版によっては無いこともあるようだが、ePUB3では必須のメタデータがここに記述されている(らしい)。筆者も詳細は知らないし、知ったところで仕方がない。先に紹介したサイトの教えに従って、書き換えるだけである。
前述したように、ここで記述された書式では、mobiファイルでは目次機能が働かないので、そこをmobi用に、書き換えるわけだ。
ここでは、直接、開いているが、万一のことを考えて、念のために、バックアップを取り、作業は別の作業フォルダで行うことを推奨する。
「metadata.opf」ファイルにカーソルを宛てて、右クリックし、コンテキストメニューから「プログラムから開く」を選択。
以下の画面になる。
ここからは各人の環境によって異なると思うが、筆者の環境では、WZエディタが関連付けされているので、推奨アプリとして、それが表示されるが、むろん、秀丸ユーザなら、秀丸が出るだろう。読み換えて読んでもらいたい。
エディタが選択されたら、「OK」ボタン押下。
以下のようにエディタがファイルを開く。
問題の箇所は、「</manifest>」、つまり宣言文(manifest)の終端タグ辺りにある。
先に紹介したサイトでは、ePUBの版の違いか、言語記述なども、「<dc:language>jp</dc:language>を<dc:language>ja</dc:language>に変更」するよう、書いてあったが、ePUB3化されたものを見ると、別に、言語記述は「ja」のままなので、そのままにしておく。全画面表示の箇所も飛ばして、次に、目次機能の箇所だが、ここでも、また、
「<item id="ncx" href="toc.ncx" media-type="application/x-dtbncx+xml"/>と記述されてる部分を <item id="ncx" href="toc.ncx" media-type="application/x-dtbncx+xml"/>」に書き換えるよう、指示があるが、ここも、そのままなので、放っておく。
問題は次の箇所で、ちょうど、上の記述が</manifest>終端タグの末尾に記されているのだが、その次の1行が、違っている。
</manifest>
<spine page-progression-direction="rtl">
と記述されてる部分を、
</manifest>
<spine page-progression-direction="rtl" toc="ncx">
に変更する(下図参照)。
書き換えが確認できたら、上書き保存する。
その後は、先ほどの工程を逆にして、全ファイルとフォルダをカーソル指定し、今度はWindows標準のツールで、ZIP圧縮する。
やはり右クリックでコンテキストメニューを出して、今度は「送る」から「ZIP(圧縮)」を選択する。
ただ、ここで面倒くさいのは、この方法だと、書庫(=圧縮ファイル)の場所の指定とファイル名の指定が出来ない(らしい)。下図のように、元の解凍したフォルダ内に、ZIP圧縮ファイルを作成してしまう。
ここでは、仕方ないので、その場で作業しているが、別の作業フォルダを作って、そこにコピーないし移動させて、そこで作業するのがいいかと思われる。
ともあれ、このZIPファイルをリネームする(元のePUBファイルに戻す)。
これにカーソルを宛てて、右クリック。コンテキストメニューから「名前の変更」を選択する。
図では、たまたまタイトル名になっているが、違うファイル名になっている場合もある。とにかく、このZIPファイルをリネームする。
元のファイル「タイトル.ePUB」に書き換える(「.zip」を削除し、拡張子を「.epub」にする)。
リターンキー押下で、リネーム完了。
次は、こうしてmobi形式に書き換えたファイルを、ePUB3から、mobiファイルに変換する。
使用するツールは前述した、Amazon が無償配布している「Kindle Previewer」である。下記のサイトにアーカイヴされている。
http://www.amazon.com/gp/feature.html?docId=1000765261
ただし、前述したように、同時に、「kindlegen.exe」も必要なので、こちらから2つとも落とした方が効率的だろう。
https://kdp.amazon.co.jp/help?topicId=A3IWA2TQYMZ5J6
OSごとに違うファイルがあるので、ここでは、上のWindows用のファイルを落としてくる。
ダウンロードした「KindlePreviewerInstall.exe」を実行すると、インストールされ、下図のような画面が立ち上がる。
こうした小物のアプリは、「e-book」とか適当なフォルダをデスクトップに作っておき、全部、まとめて格納しておけば、のちのち作業が楽だと思う。筆者はそうしている。
「Kindle Previewer」のメニューバーの「ファイル」から「本を開く」で、目標のタイトルのePUB3ファイルを開く。
最初は、階層を辿っていく必要があるので、判りやすい作業フォルダを作成しておくことを推奨する。
(筆者は、ChainLPフォルダ直下に「kindle」という作業フォルダを作り、そこで作業している)
「本を開く」で選択したら、すぐに変換作業が始まる。
作業中は下図のようなダイアログボックスが表示される。
変換作業が終了すると、下図のダイアログボックスが表示される。
「完了の詳細」を見ても、あまり益はない。
丁寧にも、作成したフォルダを明示してくれるので、そこをクリックする。
下図のように、変換されたmobiファイルが表示される。
ちなみに、ここでは、絶対パスで、C:\x_soft\ChainLP\kindle\フォルダ直下に、「converted-[野阿 梓] だるまさんがころんだ症候群K.epub」という名のフォルダが作成され、mobiファイルは、さらにその中に、「[野阿 梓] だるまさんがころんだ症候群K_2014-10-05_14-27-04.mobi」といった作成年月日時刻入りで作成されている。
後で、Kindle PaperWhiteに格納する際には、2014以下のタイムスタンプは削除しても構わない。何度も試作して、試行錯誤する際は別だが、同じ名のタイトルがいくつもあると鬱陶しいだろう。
ほぼ自動的にタイトルが「Kindle PaperWhite Preview」で開かれる(下図)。
とはいえ、Kindle PaperWhite Previewで見ても、意味がないので、ザッとチェックしたら閉じる。
その後、ケーブルでPCとKPWを繋いで、KPWの「documents」フォルダに転送する。
これで、KPWで、自作タイトルが読めるようになる。
少々、見づらいが、下図のように、KPWの目次機能は、「移動」メニュー内に備わっている。
「だるまさんがころんだ症候群」の全5章が、目次設定されていることが判る。任意の章数をタップすれば、そのページ開始点に飛ぶ。
これは短い作品だから、さほどではないが、長編や短編集だと、目次の機能は効力を発揮する。
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