How to make the e-books:comics


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■ 電子書籍の作り方 コミック







 ● 総目次


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■ 画像データ


まず、なにはともあれ、画像データを用意しなければならない。

画像データは、ファイル名が「連番」である必要がある。

この場合、マシンから見た連番であり、つまり、JIS規格に準じた連番である。
ファイル名は、半角英数字で小文字が望ましい。
一応、例としてあげておくと――、

manga001.jpg
manga002.jpg
manga003.jpg
manga004.jpg
manga005.jpg
manga006.jpg
manga007.jpg……

――といった具合である。

もし、通しの連番になっていない場合でも(途中に欠番があったりしても)、それは構わないが、メチャクチャなファイル名では困る。
機械は馬鹿正直だから、JISの規格に従って、ファイルを自動的に読み込む。それに沿ったファイル名でないと、ChainLPの読み込みの段階で判るだろうが、それでは困る(事前に、ファイル名でソートして確かめるとか、いくらでも手はあるはずだ)。

もし、連番でない場合は、事前に手作業で連番にしておく必要がある。
ベクターサイトなどで、たくさんのファイルを一括でリネームするフリーソフトがあるから、それを(部分的にでも)援用するのも一方法だろう(ただし、最低でもワイルドカード程度の知識が求められるので、それくらいは知っておくこと)。

画像データの大きさ(容量)は、ChainLPがリサイズしてくれるから、それほど考慮しないでよいが、あまり大きいとエラーになる畏れがあるので、PCの標準的な画像ビューアで可読な程度を目安にしてほしい。
また、圧縮率を考えると、JPEGが標準的である。

念のため、付言すると、自炊データであれ、なんであれ、著作権法をクリアしておく必要があるのは、云うをまたない。自己責任で、遵法精神で行なう。これが、電書作成の要諦の第一である。

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■ ChainLPでの作業


 解像度の設定

ChainLPでの作業は、まず、電書リーダーでの最適値の「解像度」の設定である。

ネットで調べ、また試行錯誤した結果では、筆者が持っている「kobo touch」での最適値は「600x750px」である。※注記
テキスト編で述べたように、この最適値は、現時点では「600x700px」であると訂正する。以下の文章や画像も、そのように読み換えてもらいたい。

これは、まだChainLPには設定されていないので、自分で追加する。
メニューバーの「解像度」をクリックすると、以下の一覧が表示される。

ソニー・リーダーや、Kindle、iPadなどなど、さまざまなデバイスでの最適値に合わせた解像度が用意されていることが判るだろう。
しかし、koboはないので、一番上の「追加」をクリックする。

ChainLP



表示された「解像度」ダイアログボックスに、「機種」欄に「kobo」と入力し、幅を600、高さを750(ピクセル)に指定し、「設定」ボタンを押下する。

ChainLP



下図のように、画面右端の項目中、「サイズ」欄に「600x750」が追加された。
この値は、ふたたび解像度のメニューを変えない限り、ChainLPを終了しても、次回も同様の値のままである。

ChainLP



 画像データのコピー

下図は、マイコンピュータを2つ立てて、つまり、エクスプローラを2つ動作させ、元データの画像ファイルのあるフォルダと、ChainLPの画像データを格納するサブフォルダ(ここでは、「sagyo」)を並列させている。

筆者は卓駆★という専用のファイル管理ユーティリティを使っているから、こうした作業に慣れているのだが、あまり、こういう作業に不慣れなユーザは、しかし、必須の作業なので、コツをつかんでおいてもらいたい。

ここでは、「rp001.jpg」から「rp045.jpg」までが、対象ファイルである。
図では、マウスで001から045までをSHFTキーを押下しながら、一括選択している。これを「範囲指定」という。
もし、飛び飛びになっているなら(事前にそうならないよう、選択的にしておくべきだが)、CTRLキーを押下しながら、個々のファイルを選ぶことが可能である。

云うまでもないだろうが、画面の左側が「ChainLP」の格納フォルダ、右側が(HDD内の)元データのファイルがあるフォルダである。

ChainLP



次に、元データをChainLPのsagyoフォルダへコピーしなければならない。
筆者が使っている卓駆★などでは、範囲指定して、ドラッグ&ドロップすればよいのだが(そして、かつてXPマシンなどでは、それでもよかったのだが)、Windows7では、どうも上手くいかないので、以下は、もっとも手堅い方法を記す。

下図は、HDD内の元データを格納したフォルダである。
見てわかるように、「rp001.jpg」から「rp045.jpg」までが範囲指定されている。

この状態から、エクスプローラの上部メニューバーから「編集」をクリックし、ドロップダウンメニューから「コピー」を選ぶ。
この操作によって、Windowsのクリップボードという、目に見えない黒板に、45個のファイルが格納(コピー)されている。

ChainLP



次は、コピーしたファイルを「貼り付け」する。

下図で、今度は左側の画面で、メニューの「編集」から「貼り付け」を選び、クリックする。
これによって、クリップボードに格納されていたファイル群が、該当フォルダにコピーされる。

ChainLP



すると、下図のように、画像ファイルが「貼り付け」られ、コピーが完了する。

ドラッグより、ひと手間かかるが、これが最も堅実で手堅い方法である。

ChainLP



 画像データの読み込み

さて、次は、sagyoフォルダに格納したファイルを、ChainLPに「読み込み」する。
すなわち、ソフトにデータを取り込むのである。

もう一度、下図のChainLPの画面を見てもらいたい。
上部のメニューバーと、画面右側の項目群で、ほとんどの操作がやれるようになっていることが判る。総じて、ファイル群の取り扱いは上部メニューで、個々のePUBの作成は、右手の項目群でやるように区分されている。

ChainLP



ファイルの「読み込み」は、上部メニューから、「ファイル」をクリックして、ドロップダウンメニュー内から「連番ファイルを読み込む」を選ぶ。

ChainLP



これで、下図のように、「入力フォルダを指定してください」のダイアログボックスが現れ、sagyoフォルダに格納されているファイルが一覧される。

最初のファイルは(自動的に、連番の順に並ぶので)、画面一番左上に「rp001.jpg」が来る。
(Windowsの仕様で、既存の拡張子は省かれるから、ベースネームだけとなる)

このために、事前に連番ファイルにしておく必要があったわけである。

ChainLP



ここで、下図のように、最初のファイル「rp001(.jpg)」を選んで、「ファイル名」に取り込まれたことを確認して、「保存」ボタンをクリックする。

ChainLP



すると、自動的に、sagyoフォルダ内のファイルが「読み込み」される。
細かいが、よく見ると、画面左側のファイル一覧に、rp001以下のファイルが読み込まれているのが判るだろう。

該当サブフォルダ内の全てのファイルが読み込まれるので、このフォルダ内は、作業前には、常に作業する対象ファイルのみ、格納しておく必要がある。
(後で、ChainLP内の機能で削除も可能だが、面倒くさい。工程上、余計な夾雑物は可能な限り排除すべきだ。なお、テキストから読みこむ際には、カーソル位置のテキストファイルのみが読みこまれるため、テキスト主体で作業するのであれば、いちいち、フォルダ内を整理する必要はない。が、画像の場合は、問答無用にフォルダ内全部のファイルが読みこみ対象となるので、そうした配慮が必要となる)

ちなみに、ここに用意した画像データファイルは、筆者が大昔に描いたマンガ作品「雨月物語」である。
若描きで、いささか面映ゆいが、著作権をクリアするためには、自作の画像を使うしかなく、仕方がない。
1980年に、後に「兇天使」となるエルシノア・プロットの序章となる部分だけを、先にマンガ化したもので、元画はA3のケント紙に描いているため、大きすぎる。
そこで、1993年12月、山藍紫姫子氏の同人誌「Walkure」19号に寄稿した時のものを、同人誌からスキャンした画像データを使っている。諒とされたい。
なお、山藍氏には、記して感謝するものである。

ChainLP



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 画像データの加工

ChainLPに読み込んだ画像データは、画面右側のメニュー項目で加工処理する。

項目についての詳細な説明は省く。
制作者が、主要な項目にバルーンで説明を付しているから、大略はそれで判るし、だいたい、デフォルトでよい。

大きなボタンの「入力」「出力」は問題ないだろう。
「入力」のデフォルトの「dir」はディレクトリの略で、指定したサブフォルダからのインプットであることを指す。
「出力」は、もし異なる項目にチェックが入っていたら、「ePUB」に換えておく。
作り手の意図によって、他の(PDFやcbzやMobiなどの)ファイル形式も選択可能である。
ここでは、ePUBを選ぶ。

サイズは、最初の工程で横縦比「600x750」に換えてある。

「ページ補正」は、今はマンガ作成なので、「コミック優先」を選択する(ドロップダウンメニュー内で自由に換えられる)。

ChainLP



問題になりそうな点は、赤でアンダーラインした、「ガンマ補正」「シャープネス」だろうか。
これは、左画面で、冒頭とは異なる画像にカーソルがいっているように、何枚かの画像データをチェックして、最適値を出すことが、電書の出来映えに、関わってくる。

レタッチソフトなどに不慣れだと、「ガンマ補正」と云われても、よく判らないかも知れないが、要は、画面の「濃淡」である。数値的には、1.2〜2.2あたりで、数字を上下させれば、中央画面の表示画像が、リアルタイムで変化するので、見ながら最適値が判る。

スキャンの仕方にも依るが、マンガでは、スクリーントーンの使い方などで、濃淡のトーンが強かったりする作品もある。数値が小さいほど、ハイライトが強くなるが、同時に薄い文字や線が飛んでしまうので、ほどよい値を見ながら出すのがコツである。むろん、作品によっても異なるので、作品ごとに、数値は変わり、一種の職人芸になる。

「シャープネス」は、チェックすると、描線を鮮明にする。数値は5段階で、これも作品内容によって、数値を変える方がよい。

ここでは、平均的な画像を使っているため(あらかじめPhotoshopでレタッチしている)、ガンマ補正の値は1.2、シャープネスは5にしているが、単なる事例にすぎない。自炊などのスキャニングの条件で、この値は変わってくる。
一般に、スクリーントーンを多用した作品やスキャン結果が薄暗い作品では、ガンマ補正値は1.2程度でよいが、こればかりは内容しだいで、実物と相対してみないと、適正値は出ない。たぶんに試行錯誤が必要である。

その下の「タイトル」「著者」項目は、下図のように、作品ごとに入力しなければならない。手作業である。「ふりがな」が付けられ、これは電書リーダに読み取られて、一覧の際、その順序で並び替えが可能となる。

最終的なePUBファイルは「[はなのまり] 雨月物語.epub」のように、著者をカッコで囲んで、次にタイトルがくる。手を抜くと、電書リーダにデータ転送してから、著者順やタイトル順に並ばないので、しっかり「ふりがな」も付けておく。

ChainLP


 目次設定

この作品は、45ページと短いので、さほど必要ではないが、ChainLPの優れた機能として「目次設定」がある。

左側の画像一覧と連動して、右側の「目次設定」ボタンを押下すると、指定した画像のページに任意の目次項目が入力できる。
長編マンガやアンソロジーなどは、章題や作品名を入れておくと便利だ。

これらは、電書リーダにデータを転送してから、威力を発揮する。
手を抜かずに、こういう地道な作業をしておくと、いざ、読む段になって、楽ができるのである。

もっと詳細な書誌を入力したければ、その隣りの「文書詳細」ボタンを押下すれば、より細かい事項が入力できる。
だが、ふつうの電書を個人的に作成するだけなら、そこまでの必要はないだろう。

ChainLP


やり方は簡単で、あらかじめ、「目次設定」ダイアログボックスを表示させてから、指定した画像で、空欄に任意の章題や作品名を入力する。 章区分がないものは、10頁ごとに入れておくとよい。
入力したら、「更新」ボタンを押下する。

ChainLP


すると、グレイアウトして、その入力したタイトルが保存される。
間違ったり、ページが前後したりしたら、もう一度、入力し直して、「更新」すればよい。

ChainLP


目次設定作業が終了したら、「閉じる」ボタンを押下する。
すると、下図のように、指定した画像ごとに目次が設定される。
この作品は章区分がないため、適当な箇所で、それらしい内容にそった目次を入力している。
長い作品だと、目次が有るのと無いのとでは、大違いである。

電書のメリットは、HTML(ウェブ)と同様に、任意の箇所で、目次を呼び出し、読みたい箇所へジャンプすることが出来る点にもある。紙の本なら、ページをめくれば、それで、漠然と憶えている位置にページめくりで戻ったりも出来るが、電書では、目次機能やブックマーク以外に、方法がない。文字列検索でも可能だが、ChainLPではリフロー機能ではないため、特定の文字列を検索し、そこにジャンプすることは出来ない。画像ファイルなら、なおさらである。
電書のメリットを活かす、そのためには、だから、こうした前処理は必須である。
ぜひ、こういう工程で手抜きをせず、設定しておいてもらいたい。

ChainLP



こうした作業が全て終わったら、いよいよePUB化となる。

上の「出力」ボタンを押下する。
すると、下図のように、ePUB化の進行がグリーンのタイムラインで表示される。
むろん、マシンスペックに依るのだろうが、XPでもWindows7でも、それほど時間は要さない。むしろ、アッという間に終わる。もちろん、分厚い単行本1冊分とかになれば、かなり時間はかかる。

ChainLP



音声をオンにしておくと、終了音が鳴り、完了を知らせる。

ePUB化されたファイルは、あらかじめ指定したサブフォルダ(ここでは「output」)に出力されている。
下図は、エクスプローラで、出力ファイルのタイトルを確認しているところだ。

以上で、ChainLPを使ったマンガのePUB化作業は終わりである。

あとは、outputフォルダ内のファイルを、電書リーダに転送すればよい。

ChainLP


先に記したように、(リボン>コンピュータから)2つのエクスプローラを並べ立てておき、PC内のePUB3ファイルを、koboにドラッグするか、または編集機能でコピー&ペーストする(下図)。

kobo


USBケーブルの接続を切ると、しばらくkobo側で、「コンテンツを処理しています」という画面表示が出て、それが済むと、タイトルがホーム画面に表示され、格納が成功したことが判る。

念のために、もう一度、kobo touch 内部の階層構造を記しておくと下記のようになっている。
この最上位の「[Author]Title001.epub」〜が、転送されたタイトル(もしくは、購入したタイトル)である。

_kobo_
   |[Author]Title001.epub
   |[Author]Title001.epub〜
   |
   |_.kobo
   |  |_images
   |  |_dict
   |  |_kepub
   |  |_Kobo
   |_Digital Editions
   |  |_Annotations
   |  |_Manifest
   |_drawings
   |_fonts

要するに、kobo本体直下に転送すればよいわけである。

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Last Updated: 2014.11.15


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